感想/見所紹介『空が灰色だから』思春期のもやもやした“灰色”な部分の描写がクセになる。

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鬱展開がほとんどで突き刺さる『空が灰色だから』あらすじ・見所・感想ご紹介

 

『空が灰色だから』というタイトルで、10代を中心に、身に覚えのある思春期のひりついた感情を思い起こさせる、酸いも甘いも知る青春時代を濃縮して固めたような…

延々とみぞおちを殴られ続けるような気持ちになる。

この作品の魅力をご紹介していきます。

 

このページを読めば『空が灰色だから』のあらすじや、登場人物、見所を十分理解できる内容となっているので是非最後までご覧ください。(一部ネタバレが含みます。)

 

鬱な日常漫画というジャンル『空が灰色だから』のあらすじ

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 (出典:『空が灰色だから』)

 

まずは『空が灰色だから』の作品概要やあらすじについてご紹介していきます。

 

あらすじ▼

好きな男子のことを、幼なじみだと一方的に思い込んでいるだけの少女。

甲子園を目指す男子に、言ってはいけないことを言ってしまった少女。

話していると色々なことがこんがらがってしまう少女。

すべてのものが自分の盗作に見えてしまう少女。

自分の境界線があいまいな青春時代に感じる不安を描いたオムニバス

 

作品の概要について▼

  • 作者:阿部共実
  • 掲載誌:週刊少年チャンピオン
  • 巻数:全5巻

 

「心がざわつく」のキャッチコピーの通り、思春期のモヤモヤする感じや微妙な感情、気まずい感じを描写されるのがとても上手くホラー・コメディ・日常・鬱が交錯する

可愛い絵が絵柄で、上手くいかないコミュニケーションを様々なキャラクターの織りなすショートストーリーとともにうまく描出されている理想的なトラウマ作品

 

『空が灰色だから』の印象に残ったエピソード3選

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次に『空が灰色だから』の印象に残ったエピソードを厳選して紹介していきます(ネタバレを含むので注意してください。)

オムニバス形式で各話毎ごとに登場人物が変わりますが、どのお登場人物もどうしようもなさや、行き詰った感じで基本的に全員挙動不審です。

 

「信じてた」野球部のエースと幼馴染回…(ネタバレ含む)

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 (出典:『空が灰色だから』)

 

このエピソードが最も印象に残ってる人も多いはず…

「本当に○○○は私が居ないとダメだな!」系主人公基に、ツンデレ気取って恋心を抱いている幼馴染みの野球部員を応援してたら真意を分かってもらえず、「お前は俺を貶めてばかりで嫌いだ」って告白もできず絶交されて、結局別の女にその人を取られる話

 

自分で発破かけたつもりが全力で地雷を踏み抜いてくという有名な後味悪い話。

この話に出てくる豪快で強烈な負けヒロインが大好き。 

 

後味の悪すぎる…「お兄ちゃんが」

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 (出典:『空が灰色だから』)

 

自分の不注意から、親戚の兄ちゃんをケガをさせてしまったことを後悔していて、会うのが気まずい風吹。しかし、母のお使いの帰りに再会した兄ちゃんは意味不明な言動を繰り返していて…という内容。

 

「違うよ」「遊んでないよ」「しないよ」「しないよ」「違うよ」「ガリガリだよ」「ペタペタだよ」、顛末を知った風吹が絶望して目を覆うシーンで、「アルプス一万尺やる?」というセリフへの流れが素晴らしい。

 

いい話かと思って油断していたら心を抉られてしまった。

タイトル「お兄ちゃんが」のあとにくるのは「壊れた…」になるのかな?

切ないんだか怖いんだか読み返すたびに読後感の変わるこのお話が好き

 

最手話の「歩み」

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 (出典:『空が灰色だから』)

 

クラスに友達がいない水戸さんと、罰ゲームで友達になることになった唐沢さんのお話


5巻最終話に持ってきてるこの「歩み」はいつ読んでも胸をザワつかせる効果がある。

大なり小なり失敗や躓く経験を誰もが経験するけど、それでも人生は続いていくことの残酷さと悲しさを描ききっている。

最後のページをめくる直前までは、「どうかハッピーエンドを…」と淡い期待を抱いてしまうのだけどやっぱりそこは『空が灰色だから』…

「歩み」このラストは阿部共美さんらしい幕引きだった。

 

阿部共実先生の作品は鬱だったり、ヴェッ…てなる

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 (出典:『空が灰色だから』)

 

阿部共実さんの作品は「空が灰色だから」「ちーちゃんはちょっと足りない」など、登場人物の思春期っぽい言動が、途中からどんどん過剰になり脱線しハッピーエンドになったり鬱エンドになったりするので、死ぬほどハラハラして精神を使う。

「脳がバグりそうな会話」を描かせたら右に出るものはいないと思う…

 

一方で 『月曜日の友達』思春期・青春・純粋系の王道作品に仕上げ、中学に周りが急に俗物根性出し始めるあの居心地の悪さの中、ありのままを突き通す主人公を描いている

 

 

 

作者の言語センスとコミュニケーション描写は疑いもない力。

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(出典:『空が灰色だから』)

 

コミュ障が頑張ってから回ってる感じが共感性羞恥とかで死ぬ人は無理かもしれない。

普通のほのぼのに紛れて急にコミュ障の心をずたずたにするのでサクサク読んで死ぬ  

いきなり悲劇的なオチがつく話もあり、短編のくせに一発一発が強烈すぎる。

独特の世界観に個性豊かなキャラクター、という言葉じゃおさまらない作風、今まで読んだことのないタイプの漫画を読んでみたい人におすすめ

 

好き嫌いありそうだがセリフや雰囲気にセンスを感じるのは間違いない。

作風の幅は想像以上に広く、絵は上手いわけではないが世界観はあるし、タッチのポップさが闇部分とのギャップを引き立たせている。技術の上にセンスがあるから面白い。

 

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 (出典:『空が灰色だから』)

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

『空が灰色だから』を紹介しました。

鬱になる短編とか、普通に怖いホラーとか、面白いギャグとか、考察しがいのある物語まで様々、大量消費型ありがち短編集なのですが、非常にオススメです

 

※最後に、見開きが少ないのと奇数ページに重要な情報が漏れがちだったので、個人的には電子書籍で読むことをお勧めします。 

 

 

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